きっかけとなったのは、相馬が久方ぶりにウタカタへ訪れた数日後の出来事だった。 　異界で鬼と戦い続けるモノノフにとって、穢れを落とす禊は重要なものだ。瘴気に長く身を晒していれば、常人より耐性があるモノノフといえど無事では… 続きを読む →

　迫りくる刃を、紙一重で避けた。そう思ったのに、刃先が髪飾りに引っかかった。 　プツッ……ブチンッ 　髪を束ねていたそれが引っ張られて、伸び切った糸がちぎれる。あ、と思った時には真珠の玉と、同時に切り払われた黒髪が空中に… 続きを読む →

「そういえば富嶽は、里を出ていくの？」 　オオマガドキを招く大型鬼を討伐した後の事。鬼の活動も沈静化し、富嶽にとっては物足りないほど平和な日々の中、立ち話の合間に隊長が尋ねてきた。 「あ？　いや、特に決めてねえが……何で… 続きを読む →

「あら息吹さん、お怪我なさったんですか？　噛まれたような跡がありますね」 　那木がそれに気づいたのは、台所盤の女性に頼まれて息吹と共に食糧庫へやってきた時だった。上の方の棚に置いてあるジャガイモの籠を息吹がひっぱり出し、… 続きを読む →

「……ったくてめえは、強いのか弱いのかよくわかんねぇな。こんなになるまで無茶してんじゃねぇよ」 　ぶつぶつ文句を言いながら、富嶽は手持ちの布を取り出して細く引き裂いた。手ェ出せ、と促して、薬草を刷り込んだ傷口の上に包帯替… 続きを読む →

帰っちゃやだ 続きを読む →

ちょうどいい背丈 続きを読む →

す、好きってあんた 続きを読む →

私の知らないあなた 続きを読む →

グウェンてば、ずるいよぉ 続きを読む →