testディスクローズ・ハー 2018-06-02 ――そして、その日は突然やってくる。 はぁ、と吐いた息が白く濁り、ゆっくり空中に溶け消える。 今日は季節外れの寒さだ。頭上はどんよりと灰色の雲に覆われ、陽光が一筋も差さない。 空の色を映し出す海もまた黒く沈み、身…拍手! 続きを読む →
testソフト・ナッシング 2018-06-02 「つかれた。立ってらんない。帰りたい。帰っていいよな?」 「駄目だ。ここまで来て逃げるな」 いつになく弱音を吐きまくって訴えかけたが、相手はすげなく却下した。 借りた腕に寄り掛かって、うう、と肩を落とす。 「こーほー…拍手! 続きを読む →
testレイズ・ラッグ 2018-05-12 「……最近、勇利に避けられてる気がするんだよな」 そんな事をふと呟いたのは、ギアのメンテナンスのため、研究所を訪れた時の事だった。 何度も通う内にすっかり顔なじみになった技術者は、背中に取り付けたギアをいじりながら、…拍手! 続きを読む →
testアンキシャス 2018-05-12 一日を終え、街の賑わいから遠ざかり、静寂に包まれた我が家に帰る。 聞こえるものといえば、周囲の森を駆け抜ける風、それに乗って届く波の音。 穏やかな暮らしは、日々闘い続けている中で一時の休息だ。 どれだけ気を張り詰…拍手! 続きを読む →
testインシデント・ペイン 2018-05-12 「キャット。キャット、おい、キャーット!」 「……なんすか、トレーナー。そんな大声出さなくても聞こえてるよ」 「馬鹿野郎、聞こえてるんなら返事しろ! てめぇの名前も忘れたのか」 「何か用すか」 「何か用、じゃねぇよ。なめ…拍手! 続きを読む →
testアウトファイト 2018-05-12 心臓が、灼ける。 ――いいか、お前は足と目が良い。フットワークを磨いて、相手のパンチを全部避けろ・・・・・・・・・・・・。 口から吐き出す息が熱い。 ――ある程度はギアが打撃を吸収するとはいえ、お前みたいな小さい…拍手! 続きを読む →
testデイ・アフター・デイ2 2018-05-12 「バーガー食いたい……」 トレーニングの合間の食事時間、ぼそっと零れた呟き。 勇利が目線を上げると、彼の前に座った女がプレートをフォークでこすっている。その中身は、ようやく半分減ったところか。 「……ここの飯が気に入…拍手! 続きを読む →
testデイ・アフター・デイ 2018-05-12 早朝、扉を開けてジムの中へ入る。 ロードワークにも早い時間、誰もいないだろうと思ったのだが、見当が外れた。 しゅっ、しゅっとこすれる音を聞きとがめて、そちらへ視線を向ける。女が一人、床にモップ掛けをしているのが眼に…拍手! 続きを読む →
testビリーブ・イット 2018-04-30 「そら、これで準備完了だ。 立ってみな、お嬢ちゃん」 「お嬢ちゃんはやめてくれ、よっ……と、うわっ!!」 その日、ゆき子がラボのとある一室へ足を踏み入れた途端、がちゃがちゃがちゃん! と派手な音が響き渡った。 何事…拍手! 続きを読む →
testインプリンティング 2018-04-29 「――出入り禁止と聞いた。ジムに入ったその日に、何をしてる」 狭いワンルーム、ふてくされてベッドで横になっていたら、めったにない来客が無遠慮に入り込んできた。 背を向けているので、相手がどんな顔をしているかは見えない…拍手! 続きを読む →