test辿るは女神の足跡11

 結局のところ、ガントレットが待ちわびていたのは、シャーリィンその人だったのだろう。  皆が泥のように眠って休息を取った後、改めて閉ざされた扉の前に立つと、羽根飾りのついた兜を身につけたガーディアンが現れ、あっさり道を開…
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test辿るは女神の足跡10

 目覚めは、良くなかった。  頭がずきずきして、鼻が痛い。まぶたは腫れて重たくなっている。 「うっ……」  ぼんやり緩慢な頭をもたげると、その下に敷いたマントが目に入る。石の床に手をついて、鉛のように重たい上半身をぐっと…
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test辿るは女神の足跡9

 ――シャーリィン……シャール! もう起きてるよなっ?  自分をそう呼ぶのは彼だけ。だからシャーリィンは振り返って、アラベルの戸口に立つ少年に笑いかけた。  ――おはよう、タムレン。準備は出来てるよ。今日は何をする? パ…
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test辿るは女神の足跡8

 シャーリィンの我慢が限界を超えたのは、デネリムを経て地図にない村、ヘイブンへ向かう途上だった。 「ゼブラン、話がある。ちょっと来い」  荷物を降ろし、各々野営の準備を始める中、シャーリィンは一人ぴりぴりした雰囲気でゼブ…
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test辿るは女神の足跡7

 このところずっと、視線を感じる。どこにいても、何をしていても、追いかけてくる眼差し。  振り返るとそこには必ず彼が居て、その真っ直ぐな瞳はいつも柔らかく、それでいて狂おしい光を宿しているので――いつの頃からか、彼が怖い…
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test辿るは女神の足跡6

 鮮やかな碧の瞳が輝く。その瞳を縁取るまつげを二・三度瞬き、彼女は横を向いた。すっと通った鼻筋の横顔は精緻なカメオに収められた肖像のように端正だ。吹いた風で銀糸のような髪がなびき、その視線を遮って前にかかった。ほっそりと…
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test辿るは女神の足跡5

 ブレシリアンの森に夜の帳が降りる。  松明の暖かな光に囲まれ、静かな夕餉を過ごした一行は、勧められるままに一泊する事にした。  人間が大半を占める集団を部族のうちに招くなど、デイルズにはあまりない事ではあったが、今回は…
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test辿るは女神の足跡4

 心臓が早鐘のように鼓動を打っている。鎧の上から押さえて深呼吸するも、容易に治まりそうにない。 (ああ、参ったな……あれはまずかった)  キャンプへ戻る道を早足に辿っていたゼブランは、湖からある程度離れたところで歩を止め…
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test辿るは女神の足跡3

 一体あと、どれだけ殺せば。  この悪魔は消えて無くなるのだろうか。  弦が弾け飛んだ後、武器を剣に持ち替えて戦う。弓と違い、刃は肉を裂き、血に塗れて命を奪う感触を直接伝えてくる。それを恐ろしいと思ったのは、まだ戦う事を…
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test辿るは女神の足跡2

 それは決して、自ら望んだ旅立ちではなかった。  大切な人の生死も分からず、自身は化け物の穢れに冒され、己の命を救う為なのだからと説得されての出立だった。  部族の皆をこれ以上悲しませたくないと生きる道を選んだというのに…
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