testfour seasons

■春  ロードワークに出ていつもの道に出たら、道の片側に植えられた桜がいっせいに花開いていた。ちらちらと花びらが舞い落ちる中を走ると、何か夢の中にいるような、不思議な気持ちになる。  花を美しい、と思えるようになったのは…
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testsoft like butterfly

「アラガキの恋路にカンパ~イ!!」  ガチンとビール瓶をぶつけながら、目の前で祝杯を挙げられ、アラガキはぼっと顔が熱くなる思いがした。美味そうにビールを飲む南部とミヤギに、よしてくださいと懇願する。 「そう改まって言われ…
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testfarfalla

 ――それから、後の事。 「……アラガキ、足いたくない?」  ファルは目の前の義足に手を添え、ふと尋ねた。ベッドに腰掛けたアラガキが、ん? と首をかしげる。それを膝をついた状態で見上げ、 「今日はたくさん、重いものはこん…
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testdie flower3

 ――空が青く晴れ渡ったその日。  暑くもなく寒くもなくちょうどいい天気だ。目を細めて見上げていたアラガキは、空から前方へと視線を転じた。  目の前にあるのは、綺麗にディスプレイされた色とりどりの花々。  花に疎いので名…
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testdie flower 2

 ――老人の死が報じられてから後。  騒がしいマスコミが次のニュースを求めて去り、喧噪も落ち着いた頃、老人の世話役だったという男からファルへ連絡が入った。  呼び出された喫茶店にいたのは、眼鏡をかけた初老の男だ。  皺ひ…
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testdie flower1

 さぁぁぁ……と柔らかい音でふと目が覚めた。何度かまばたきし、きゅっと眉根を寄せて、枕に顔を埋める。  眠気の残滓にすがるように瞳を閉じれば、周囲の音がいっそう鮮明に聞こえた。 (……あめ……?)  滑らかな布を優しく撫…
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testsky flower

「アラガキさん、これから買い出しにいくんですけど、欲しいものありますか?」  不意の問いかけに、アラガキはグローブを拭く手を止めた。  振り返ると後ろには車椅子の少年がいて、こちらを見上げている。よく気の付く少年はいつも…
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teststung by bee

 暖かな日差しが色硝子の窓を通して、木製のテーブルの上で揺れている。  穏やかな午後の時間。バイオリンの音色も心地よいクラシックが流れる喫茶店は、コーヒーや紅茶の豊かな香りと柔らかい談笑に満たされ、誰もがアフタヌーンティ…
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