testデイ・アフター・デイ3

 早朝、扉を開けて、ジムの中へ入る。  ロードワークにも早い時間、誰もいないだろうと思ったのだが、見当が外れた。  しゅっ、しゅっとこすれる音を聞きとがめてそちらへ視線を向けると、女が一人、床にモップ掛けをしている。 (…
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testアンダー・チャーム

(話するって決めたはいいけど、さて……勇利をどこで捕まえられるかな)  未認可地区を訪ねた次の日。  会社の廊下を歩きながら、キャットは頭の後ろで手を組んだ。 (勇利はいつ見ても忙しそうだし、トレーニング中にする話でもな…
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testワイズマン・ウィズダム

 あーん、と大きく口を開いて、ハンバーガーにかぶりつけば、かさついたバンズと薄い肉、しなびたレタスにやたら濃いケチャップが口の中を満たす。  しばらくもぐもぐと咀嚼して飲みこみ、オレンジジュースをストローで吸うと、嘘くさ…
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testフィール・ロスト

 通いなれた道を歩き、ドアを開き、部屋の中へ入る。  広々とした空間はどこも綺麗に片付けられ、大きな窓から差し込む陽光で、きらきら輝いているように見える。  そこに整然と並ぶ設備――サンドバッグやパンチングマシン、ウェイ…
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testディスクローズ・ヒム

 ――それから、しばらく後のこと。  メガロニアの開催日が刻々と近づく中、勇利はトレーニングと広報活動とで、多忙を極めていた。  白都コンツェルンの大型プロジェクトとなれば、その影響範囲は多岐に渡る。  この機会に、ギア…
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testディスクローズ・ハー

 ――そして、その日は突然やってくる。  はぁ、と吐いた息が白く濁り、ゆっくり空中に溶け消える。  今日は季節外れの寒さだ。頭上はどんよりと灰色の雲に覆われ、陽光が一筋も差さない。  空の色を映し出す海もまた黒く沈み、身…
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testソフト・ナッシング

「つかれた。立ってらんない。帰りたい。帰っていいよな?」 「駄目だ。ここまで来て逃げるな」  いつになく弱音を吐きまくって訴えかけたが、相手はすげなく却下した。  借りた腕に寄り掛かって、うう、と肩を落とす。 「こーほー…
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testレイズ・ラッグ

「……最近、勇利に避けられてる気がするんだよな」  そんな事をふと呟いたのは、ギアのメンテナンスのため、研究所を訪れた時の事だった。  何度も通う内にすっかり顔なじみになった技術者は、背中に取り付けたギアをいじりながら、…
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testアンキシャス

 一日を終え、街の賑わいから遠ざかり、静寂に包まれた我が家に帰る。  聞こえるものといえば、周囲の森を駆け抜ける風、それに乗って届く波の音。  穏やかな暮らしは、日々闘い続けている中で一時の休息だ。  どれだけ気を張り詰…
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testインシデント・ペイン

「キャット。キャット、おい、キャーット!」 「……なんすか、トレーナー。そんな大声出さなくても聞こえてるよ」 「馬鹿野郎、聞こえてるんなら返事しろ! てめぇの名前も忘れたのか」 「何か用すか」 「何か用、じゃねぇよ。なめ…
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