testファースト・コンタクト 2018-07-06 その名を知ったのは、メガロニア開催まで二か月を切った頃だった。 「おばちゃん、はよっす。新聞一部、頼むわ」 よく立ち寄るニューススタンドの前にバイクを停めたキャットが声をかけると、顔見知りの店主がはいはい、とにこやか…拍手! 続きを読む →
testコール・トゥ・エンドA/B 2018-07-04 その日、藤巻は場末のバーで人を待っていた。 今にも崩れ落ちそうな薄汚い店は、彼の好みではないが、たまにふらりと訪れる。昔まだここが流行っていた頃、よく足を運んだからだ。 まだ何者でもない若造だった自分には、ここの安…拍手! 続きを読む →
testコール・トゥ・エンド 2018-07-04 その日、勇利がシャルの無断欠勤を知ったのは、昼近くになってからだった。 「勇利、キャットがどこにいるか知らないか? 連絡なしに休んでるんだが」 「……いや」 ジムのトレーナーに聞かれて首を振った勇利は、一人になってか…拍手! 続きを読む →
testコール・ユー 2018-06-30 斜めに崩れた看板の酒場は、廃墟のようでいて、一応はまだ営業の灯りをともしている。 古い木戸を押せば、油の切れた蝶番が大きなきしみを立てて、無遠慮に来訪者の存在を知らしめた。 それを押しのけて一歩足を踏み入れると、ア…拍手! 続きを読む →
testゴー・バック・トゥ 2018-06-26 廊下の遠く、スタジアムではまだ、熱狂さめやらぬ観客のざわめきが響いている。 かすかに届くそれを聞きながら、キャットは控え室の扉をごんごん、と叩いた。 少し間があって、ぱたぱたと小さな足音がしたかと思うと、きしんで開…拍手! 続きを読む →
testスウィート・トーチャー 2018-06-24 資料室で手にした本は、これまで持った中でも特別に厚く重く、支えるのも困難だ。 仕方なく本棚に背を乗せてページをめくるが、ぎっちり詰め込まれた文字の大群に襲われ、複雑怪奇な図解に頭がくらくらしてくる。 「うっ……く………拍手! 続きを読む →
testラッピング 2018-06-19 ある日の白都ジムにて、選手たちの会話。 「よう、久しぶりだな。怪我の具合はどうだ」 「まぁまぁだな。次の試合には何とか間に合いそうだ。そっちはどうよ」 「俺ぁ万全よ。今度勝てば三十位以内に食い込めるから、気合い入れねぇ…拍手! 続きを読む →
testアラート・フォー・ディフェンスレス 2018-06-09 「……あっ、こら、動くな! まだ全然乾いてないだろ!」 ぎゅむ、と首の皮を掴み、足を体に回してホールドすると、犬が不満そうに鼻を鳴らした。 今にも逃げ出しそうだが、その全身を覆う毛皮はまだべったり濡れていて、とても手…拍手! 続きを読む →
testリフレクション 2018-06-08 「二ラウンドKO。二分十秒、ヒット七十二、トータル……」 スパーリングマシンが終了し、機械的に結果を読み上げる。 それを聞きながら勇利は背を向け、低酸素マスクの内側で息を吐いた。 トレーニングの合間に一息つくか、と…拍手! 続きを読む →