testジェントル・スコルディング

「……それでお前は別れたいと言ってきたのか。  俺に一言も相談せず、自分一人で勝手に決めて、全て自己完結したと。  そういうことか、シャル」  頭の上から、低く淡々とした声が降ってきた。  勇利は指一本触れていないのに、…
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testスペンド・ライフ・ウィズ・ユー

「なぁなぁ、けっこんする時って、プロポーズって奴するんだろ? シャー姉は何て言われたんだ?」 「!?」  一周年記念パーティーでわいわい盛り上がる中、膝の上に腕を投げ出して飛びついてきたオイチョの質問に、シャルはぎょっと…
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testエンディング

 ――そして時は流れて、一年後。  ――場所は、番外地ジム一周年記念パーティーにて。 「よいしょ……っと」  勢いをつけて、ミニバンの後部ドアを開く。中には二ダースのビール瓶が入ったケースと、ぱんぱんに詰め込んだ紙袋がい…
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testフェイント, ステディ・ライト

 ――メガロニア決勝。  ギアをはずした無敗のチャンピオンが、挑戦者に敗れるという大番狂わせ。  その混乱がいまだ冷めやらぬ、次の日の早朝。  押し寄せたマスコミでごった返す周囲とは裏腹に、病院の中は耳が痛くなるほどの静…
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testエンド・ポイント

 ――持っていた飛行機のチケットを、手の中でぐしゃりと握りつぶしてしまう。  これじゃ使えなくなるかもしれない。呆然としながら頭の片隅で考えたが、拳をほどく事は出来なかった。  メガロニアトーナメント、決勝戦。  チーム…
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testクリティカル・ポイント

 認可地区と未認可地区を明確に分ける川。  以前、ファストフードを子どもたちと分け合った土手にバイクを停めたキャットは、車体に寄り掛かった。  漫然と周囲を見渡す。  認可、未認可問わず、街並みに変化はない。  相変わら…
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testバトルフィールド・オブ・ワン

 晴れやかに澄み渡る空を仰いで、周囲の森から漂う清かな空気を吸い込めば、気分まで爽やかになるような日。  だが、いま自分がいるのは、風が滞留する薄暗い地下室だ。  最低限の設備を整えはしたとはいえ、所詮は急ごしらえ。充分…
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testヘジテイト・フォー・フィア

 メガロニアドームに響き渡る歓声が耳に刺さって、わんわんと頭に響く。  昨日は飲んでいないから、酒は抜けたはずだ。この頭痛は、一睡も出来なかったせいか。 (頭いてぇ……)  そう思いながら階段を下りていき、自分の席に座る…
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testサムワン・フォー・プレイヤー

 ――深く沈んでいた意識がゆっくりと浮上し、まぶたの裏に光を感じる。  頬を撫でる優しい風に誘われるように目を開くと、頭上の窓は開け放たれ、白いカーテンがふわりと踊るように揺れていた。  差し込む陽光に瞬いていると、鳥の…
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