testグラスプ・フォーチュン

 どっ、と勢いよくベンチに倒れ込んだのは、脇腹の激痛に耐えきれなかったせいだ。 (……いってぇ……く、そっ……)  切れる息の下で毒づき、手で押さえると、呼吸が止まるほどの鋭い痛みが走る。服の上から殴られたので状態は見え…
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testリンガリング・セント

 一日を終え、街の賑わいから遠ざかり、静寂に包まれた我が家に帰る。  聞こえるものといえば周囲の森を駆け抜ける風の音、それに乗って届く波音。  穏やかな暮らしは、日々闘い続けている中で一時の休息だ。  どれだけ気を張り詰…
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testユー・ガット・メール

「ぁいたっ」  かがんで段ボールを持ち上げたら、腰に軽く痛みが走ったので、つい声が出た。やばいか? と様子見で動きを止めたが、痛みは余韻を残しつつも緩やかに消えていく。 (うーん……まだ、本調子じゃないか)  だいぶ復調…
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testビフォー・アフター2

 ――メガロニア決勝後。退院した勇利と、久しぶりに買い物へ出かけた時の事。 「……あのぉ……すみません」 「ん?」  信号待ちをしていたら、横手から声をかけられる。シャルが振り返ると、そこにいたのは若い女性二人だった。 …
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testイージー・マインド

「――スパーリングマシンを自力でぶっ壊したって? よくやるもんだな、ちょっとやそっとじゃ壊れないはずだが」 「……すみません」  無理を重ねたあげく、肘部分に異常を来たしたギアのメンテに訪れた時。  技術者が呆れ顔で言っ…
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testライク・ア・キャンディ・フロス

「なあ、キャット。お前、勇利に惚れてるのか?」  がらがらがっしゃん!! 「うわ!?」 「な、なにやってんだキャット!」  唐突な質問が耳に飛び込んできた途端、マシンにけつまずいて、両手で抱えていたスポーツドリンクのボト…
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