test番外:わするばかりの恋にしあらねば

 普段は何があっても落ち着いて対応する彼女が、その日に限っては、 ・火にかけたやかんをひっくり返す ・こぼしたお湯を慌てて拭こうとしてやけどする ・やけどした事を忘れてその手で武器を握って痛みに悶絶する  というおっちょ…
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testわするばかりの恋にしあらねば6

 その女は、いつも一人だった。  傍から見ていれば、彼女には仲間がいた。寝食を共にし、命を懸けた任務へ挑み、背を預ける友がいた。  だが、彼女は一人だった。  どれほど皆に好かれ慕われ囲まれていようと、彼女はいつも此処で…
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testわするばかりの恋にしあらねば5

 さらさらと涼やかに、透き通った川の流れは続く。心を安らげるような清らかな音の中で、けれど先ほどからどうしてもそわそわしてしまう。 (……ど、どうしよう。やっぱり帰るべきかな。いや、こちらから呼び出しておいて、すっぽかす…
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testわするばかりの恋にしあらねば4

「……おい、その辛気臭い顔をやめろ。飯がまずくなる」 「え? あ、ごめん」  神無に注意されたのは、戦の領域を浄化して後、久音の小料理屋で食事をしていた時のことだった。  任務に同行した焔、紅月、神無と、料理屋で会った椿…
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testわするばかりの恋にしあらねば3

 異界の空気は冷たく、重い。  正体不明の霧は、人が一歩異界に足を踏み入れた時からその体を蝕み始め、長く留まれば息をするだけで命を奪う猛毒の瘴気だ。  ゆえに、耐性のあるモノノフであっても常に行動限界を意識して慎重に行動…
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testわするばかりの恋にしあらねば2

 時は下り、オオマガドキより十年後――  マホロバの里はその日、つつがなく節分を迎えていた。  一時は人の世が壊れようかというほど追いつめられた過去を持つ人々は、季節折々の行事にことのほか重きを置いている。  今をもって…
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testわするばかりの恋にしあらねば1

 ――藍の色をしたその瞳はいつも、ここではない何処かを見つめているようにとらえどころがなく。  ――いずれ跡形もなく消え失せてしまうのではと、らしくもなく不安に駆られ。  ――そうして、私は過ちを犯したのだ。  夜も更け…
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