test恥を知る

「喉が渇いているだろう。これを飲んでおけ」 「……はい、ありがとうございます」  そういって差し出された湯呑を受け取って口に含むと、確かに思っていた以上に喉がからからになっている。熱くもなくぬるくもないお茶は染みわたるよ…
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testわするばかりの小話1

至上の枕  ふ、と眠りから引き戻された時、掛布とは違う温もりに包まれている事に気づいて、一瞬ぎょっとした。誰かが自分を抱えているのだと視線を上げると、すぐ近くで目を閉じた九葉の顔が視界に映る。 (あ……そうか。今日は、九…
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testわするばかりの恋にしあらねば11

 雲一つなく、晴れ渡った空が頭上に広がる心地の良い朝――お頭詮議を終え、次の任務を受諾した軍師九葉と百鬼隊が発つ日がやってきた。  マホロバの入り口の橋から広場にかけて、馬を引いた百鬼隊の面々が、親しくなった里人やモノノ…
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testわするばかりの恋にしあらねば9

「あなたの姿が見えないと思ってたら、研究所に来てたんですね、九葉。博士にご用ですか」  こちらの動揺など知る由もなく、彼女は屈託なく問いかけてくる。間を置いた後、九葉はああ、と歩み寄った。 「……あれが治療をさせろ、とし…
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testわするばかりの恋にしあらねば8

『――では、もうお体はよろしいのですね、軍師九葉』  頭の中に響くのは、心からの安堵がこもった柔らかな声。こちらの状況は折々に知らせていたのだが、日々緊迫していく情勢に気が気ではなかったのだろう。九葉は案ずるな、と声に出…
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testわするばかりの恋にしあらねば7

 命は、いつも自分の前を通り過ぎて行った。見送ったのがどれほどの数だったか、もう思い出せない。  命は過ぎ去る。それは当たり前で、何の感慨もわかない、当然の理。  ゆえに、時の彼方へ消えていく命の奔流の中で、自分はただ鬼…
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