花をすぐに駄目にするというから、苦心してドライフラワーの花束を作った。これを渡したらきっとあの綺麗な笑顔を見せてくれると思ってたのに、
「こんにちは、サチオくん」
「こ、こんにちは、ゆき子さん。あ、あの」
「ゆき姉ーー! 話あるんだ、こっちこっち!」
忙しい中やっと来てくれたゆき子に挨拶した途端、オイチョが割り込んできて、彼女の手をつかんでぐいぐい引っ張っていく。
「待ってちょうだい、そんなに引いたら転んでしまうわ」
つんのめりそうになりながらも、ゆき子は何だかとても楽しそうに笑っていて、声をかけそびれる。
(……何だよ。最近はオイチョとばっかり話して)
女同士積もる話があるんだと言われては、割り込むわけにもいかない。サチオは、ちえっと口を尖らせて、花束を持った手を力なく下ろしたのだった。