testエンド・ポイント

 ――持っていた飛行機のチケットを、手の中でぐしゃりと握りつぶしてしまう。  これじゃ使えなくなるかもしれない。呆然としながら頭の片隅で考えたが、拳をほどく事は出来なかった。  メガロニアトーナメント、決勝戦。  チーム…
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testクリティカル・ポイント

 認可地区と未認可地区を明確に分ける川。  以前、ファストフードを子どもたちと分け合った土手にバイクを停めたキャットは、車体に寄り掛かった。  漫然と周囲を見渡す。  認可、未認可問わず、街並みに変化はない。  相変わら…
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testバトルフィールド・オブ・ワン

 晴れやかに澄み渡る空を仰いで、周囲の森から漂う清かな空気を吸い込めば、気分まで爽やかになるような日。  だが、いま自分がいるのは、風が滞留する薄暗い地下室だ。  最低限の設備を整えはしたとはいえ、所詮は急ごしらえ。充分…
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testヘジテイト・フォー・フィア

 メガロニアドームに響き渡る歓声が耳に刺さって、わんわんと頭に響く。  昨日は飲んでいないから、酒は抜けたはずだ。この頭痛は、一睡も出来なかったせいか。 (頭いてぇ……)  そう思いながら階段を下りていき、自分の席に座る…
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testサムワン・フォー・プレイヤー

 ――深く沈んでいた意識がゆっくりと浮上し、まぶたの裏に光を感じる。  頬を撫でる優しい風に誘われるように目を開くと、頭上の窓は開け放たれ、白いカーテンがふわりと踊るように揺れていた。  差し込む陽光に瞬いていると、鳥の…
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testファースト・コンタクト

 その名を知ったのは、メガロニア開催まで二か月を切った頃だった。 「おばちゃん、はよっす。新聞一部、頼むわ」  よく立ち寄るニューススタンドの前にバイクを停めたキャットが声をかけると、顔見知りの店主がはいはい、とにこやか…
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testコール・トゥ・エンドA/B

 その日、藤巻は場末のバーで人を待っていた。  今にも崩れ落ちそうな薄汚い店は、彼の好みではないが、たまにふらりと訪れる。昔まだここが流行っていた頃、よく足を運んだからだ。  まだ何者でもない若造だった自分には、ここの安…
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testコール・トゥ・エンド

 その日、勇利がシャルの無断欠勤を知ったのは、昼近くになってからだった。 「勇利、キャットがどこにいるか知らないか? 連絡なしに休んでるんだが」 「……いや」  ジムのトレーナーに聞かれて首を振った勇利は、一人になってか…
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testコール・ユー

 斜めに崩れた看板の酒場は、廃墟のようでいて、一応はまだ営業の灯りをともしている。  古い木戸を押せば、油の切れた蝶番が大きなきしみを立てて、無遠慮に来訪者の存在を知らしめた。  それを押しのけて一歩足を踏み入れると、ア…
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test暗中に咲く

 半分残っていた光は失われ、すべては闇に閉ざされた。  半分の闇にはずいぶん慣れていたから、すべての闇にもすぐ慣れるだろうと高をくくっていたが、大違いだ。  何しろなにも見えないものだから、どこへ行くにも手探りのすり足で…
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