testgentle time

 久しぶりに飲もう、とアラガキを街に連れ出し、適当な店に入って昔話に花を咲かせた。  以前は自分を真似て痛飲しようとして、撃沈していた元教え子は、軍隊生活でずいぶん鍛えられたらしい。複数件はしごをしても、まだケロッとして…
続きを読む →

testserve cuisine

 ヤクザだからと言って品まで失うことは無い、とオヤジは言った。 「むしろ、極道だからこそ品位を失うべきでは無い。良く吠える犬は弱さを隠す臆病者だ。  吠え散らかして無様を晒すのではなく、隠し持った己の牙を研ぎながら、敵の…
続きを読む →

testmake home

 自分は金の上手い使い方を知らない。  元より欲しいものなど無い。必要最低限のものがあれば生活は事足りる。  趣味もなく、強いて言うならメガロボクスがそれで、こちらは白都が十分すぎるほどサポートをしてくれるので、やはり使…
続きを読む →

testbaby word

 何の気なしに、新聞読んでやるよと言ったのが、間違いだった。 「……の……活躍で、メガロボクスのトーナメントは……いち……いち……」 「一段と盛り上がりを見せて、だよ、ジョー。ほら、ここと同じ字だろ?」 「お、おう……」…
続きを読む →

testTyltyl and Mytyl

 今年の法要は、雨が降らなかった。  毎年毎年、なぜか祖父の法要の日は雨に見舞われていた。  今年もそうなるかと思っていたから、部屋のカーテンを開けた時、思いがけないほど空が晴れ渡っていて、虚を突かれてしまった。 (珍し…
続きを読む →

testメガロボクス掌編

twisted warm  何の気なしに外出したはいいものの、今日は随分冷え込む。上着を着てくりゃよかったと背中を丸めた時、ばさりと後ろから着せかけられた。 「ジョー?」 「それ着ておけよ、おっさん」  どうやら自分の上…
続きを読む →

test白都兄妹小話

1123  ぴゅうと北風が吹き抜けて、隣を歩くゆき子が肩を縮こまらせた。 「ゆき子、大丈夫か?」 「平気よ、お兄様。このくらい何ともないわ」  ランドセルを背負い直して答える妹は最近ずいぶん逞しい。だが目に見えて寒そうな…
続きを読む →

testfearless beast

「……藤巻さん。あんた、藤巻さんか」  声をかけられる前に、自分の背後から近付く気配を察していたのは、自分が特別敏いからではない。かちゃっ、かちゃっという微かな、しかし聞き逃すには目立つ、義足の音を耳が拾い上げたからだ。…
続きを読む →

testmechanical melancholy

 ドサッとカウンターへ置かれたバッグに、虻八は眉をあげた。  使い込まれてあちこちひびのはいった革の表面には、掠れた「U.D.」の文字が描かれている。  見慣れたそれから視線をあげれば案の定、持ち主も見慣れた男だった。見…
続きを読む →