testわするばかりの小話1

至上の枕  ふ、と眠りから引き戻された時、掛布とは違う温もりに包まれている事に気づいて、一瞬ぎょっとした。誰かが自分を抱えているのだと視線を上げると、すぐ近くで目を閉じた九葉の顔が視界に映る。 (あ……そうか。今日は、九…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば11

 雲一つなく、晴れ渡った空が頭上に広がる心地の良い朝――お頭詮議を終え、次の任務を受諾した軍師九葉と百鬼隊が発つ日がやってきた。  マホロバの入り口の橋から広場にかけて、馬を引いた百鬼隊の面々が、親しくなった里人やモノノ…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば9

「あなたの姿が見えないと思ってたら、研究所に来てたんですね、九葉。博士にご用ですか」  こちらの動揺など知る由もなく、彼女は屈託なく問いかけてくる。間を置いた後、九葉はああ、と歩み寄った。 「……あれが治療をさせろ、とし…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば8

『――では、もうお体はよろしいのですね、軍師九葉』  頭の中に響くのは、心からの安堵がこもった柔らかな声。こちらの状況は折々に知らせていたのだが、日々緊迫していく情勢に気が気ではなかったのだろう。九葉は案ずるな、と声に出…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば7

 命は、いつも自分の前を通り過ぎて行った。見送ったのがどれほどの数だったか、もう思い出せない。  命は過ぎ去る。それは当たり前で、何の感慨もわかない、当然の理。  ゆえに、時の彼方へ消えていく命の奔流の中で、自分はただ鬼…
続きを読む →

test番外:わするばかりの恋にしあらねば

 普段は何があっても落ち着いて対応する彼女が、その日に限っては、 ・火にかけたやかんをひっくり返す ・こぼしたお湯を慌てて拭こうとしてやけどする ・やけどした事を忘れてその手で武器を握って痛みに悶絶する  というおっちょ…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば6

 その女は、いつも一人だった。  傍から見ていれば、彼女には仲間がいた。寝食を共にし、命を懸けた任務へ挑み、背を預ける友がいた。  だが、彼女は一人だった。  どれほど皆に好かれ慕われ囲まれていようと、彼女はいつも此処で…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば5

 さらさらと涼やかに、透き通った川の流れは続く。心を安らげるような清らかな音の中で、けれど先ほどからどうしてもそわそわしてしまう。 (……ど、どうしよう。やっぱり帰るべきかな。いや、こちらから呼び出しておいて、すっぽかす…
続きを読む →

testわするばかりの恋にしあらねば4

「……おい、その辛気臭い顔をやめろ。飯がまずくなる」 「え? あ、ごめん」  神無に注意されたのは、戦の領域を浄化して後、久音の小料理屋で食事をしていた時のことだった。  任務に同行した焔、紅月、神無と、料理屋で会った椿…
続きを読む →