test花のうへの露3

 義姫の土産と旅の女を持って、小十郎は伊達屋敷へと帰着した。女の手当を館の者に託し、自身は真っ先に政宗のもとへ向かう。 「よぉ、小十郎。ご苦労だったな。母上のご機嫌はどうだった?」  政宗は自室で六爪の手入れをしていた。…
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test花のうへの露2

 石や木の根っこを手がかりに、足先から斜面を滑り降り、小十郎は女のもとに辿り着いた。 「よし、あんた、起きられるか?」 「あぁ、まぁね……ん、しょっと」  小十郎が来るまで大人しく待っていた女は、その手を借りてゆっくりと…
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test花のうへの露1

 夜来の細雪が止み、ひんやりとした空気が頬を撫でる朝。小十郎は政宗の母、義姫のもとから、ゆっくりと帰路を辿っていた。 (早いところ、戻りてぇもんだが)  残してきた仕事を思うと、のんびりしているわけにもいかないのだが、何…
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test恥を知る

「喉が渇いているだろう。これを飲んでおけ」 「……はい、ありがとうございます」  そういって差し出された湯呑を受け取って口に含むと、確かに思っていた以上に喉がからからになっている。熱くもなくぬるくもないお茶は染みわたるよ…
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testわするばかりの小話1

至上の枕  ふ、と眠りから引き戻された時、掛布とは違う温もりに包まれている事に気づいて、一瞬ぎょっとした。誰かが自分を抱えているのだと視線を上げると、すぐ近くで目を閉じた九葉の顔が視界に映る。 (あ……そうか。今日は、九…
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testわするばかりの恋にしあらねば11

 雲一つなく、晴れ渡った空が頭上に広がる心地の良い朝――お頭詮議を終え、次の任務を受諾した軍師九葉と百鬼隊が発つ日がやってきた。  マホロバの入り口の橋から広場にかけて、馬を引いた百鬼隊の面々が、親しくなった里人やモノノ…
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