test花のうへの露17 2020-08-11 奥州の空を覆った黒雲は始め雨を、やがて細雪を降らせた後、風に運ばれて消えた。地面に薄く積もった雪も溶け去り、今宵はさえ渡った月が空を飾っている。 その夜、政宗はその明かりを浴びながら、月見酒を楽しんでいた。開けた障子…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露16 2020-08-10 「……石田三成。聞き覚えのある名だな」 朝顔の殺気に顔をしかめながら、小十郎は記憶の糸を辿った。そう遠くない日、その名を耳にした気がする。朝顔はそうだろうね、とため息混じりにいった。 「先の武田上杉による豊臣侵攻の折り…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露15 2020-08-10 熱い。身体が燃えるように熱い。 「う……くっ……」 息が苦しい。は、と息を漏らして目を開く。ぼやける視界は薄闇で、何も見えない。 (ここ、は……) どこだろう。考えようとしたが、頭がぼうっとして働かない。からからに…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露14 2020-08-10 ギァン! 高い音を立てて刃と刃がかみ合った。そのまま互いに一寸もひかぬつばぜり合いとなり、ぐずついた地面に足がめり込む。刀ごしに痩身の男とにらみ合いながら、政宗はニッと口の端をあげた。 「どこに行くつもりだ、あんた。…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露13 2020-08-10 「さぁ、教えてもらおうか。てめぇらのどっちが、オレの目を盗んで、奥州で悪さをしてやがるのかをな」 笑いの中に怒気を含んだ政宗の声を聞きながら、小十郎は小太刀を放った手を下ろした。襲撃者を追って分け入った山中、ようやく見…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露12 2020-08-10 闇に覆われた森に、雨が降る。枝葉にふれ、さわさわと衣擦れのような音を立てる雨は冷たく、じわりじわりと体温を奪っていく。 (雨は嫌いだ……篠突く雨など、以ての他だ……) 山道を進みながら、男は心中で呻いた。濡れるのも構…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露11 2020-08-10 異常の知らせを受けた小十郎は、すぐさま政宗へ報告にあがった。二人は机の上に地図を広げ、向かい合ってのぞき込む。 太い線で奥州のおおまかな地形が描かれた地図には朱のばつ印が描かれ、それは小さなものも含めて五つを数えた。…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露10 2020-08-10 雲が少しずつ空を覆い始め、遠くから湿った匂いが風に乗ってやってくる。 (遠からず、雨になりそうだね) その光景を縁側に座して見上げ、朝顔は目を細めた。冷えすぎて雪にならなければいいが、と足をさする。手厚い看護のおかげ…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露9 2020-08-10 書状が届いて二日後、伊達屋敷は新たな客人を迎え、緊張の空気に包まれていた。 やってきたのは、徳川家康その人。かつては織田、豊臣の配下となり忍耐を強いられ続けた若き少年であったが、今政宗の前に座したその姿は、見違えるほ…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露8 2020-08-10 自分の身体の一部のように馴染んだ手中の重み、地面に向けて延びるその先端までを意識しながら、政宗はゆっくりと刀を正眼に構えた。 目はうっすら雪が残る境内に向けられているが、見ているものはそれではない。 息を吸う、吐く…拍手! 続きを読む →