test花のうへの露27

 次に目を覚ました時、視界は闇に閉ざされ、何も見えなかった。 (なに……夜……?)  夢うつつのまま思う。どれほど気を失っていたのだろう。ぼんやりしながら腕を動かそうとすると、「いっ!」全身のあちこちが痛み、短い悲鳴が飛…
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test花のうへの露26

 ――それは朝顔がまだ、桔梗という名のしのびであった頃の事。  群雄割拠の乱世。日ノ本ではそこかしこで戦が起こり、一つの国が滅び、一つの国が栄え、そしてまた滅んでいくのが日常である。しかしある時、織田信長という名の魔性が…
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test花のうへの露25

 太陽は登り切り、頂点に差し掛かりつつある。陽光が差し込む木々の合間をすり抜けるように、朝顔は森の中を跳んだ。足が痛むので、力を加減しながら枝から枝へ飛び移り、先へ先へと進んでいく。 (参ったね、このまま行くわけにもいか…
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test花のうへの露24

「……ふう」  ようやく最後の書類を終えた小十郎は大きく息を吐いて、目のあたりを指でぐりぐりともみほぐした。さすがに日がな一日筆を握っていると、疲れる。  石田との対決に備えて徳川との同盟が成ったはいいが、各諸侯のとりま…
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test花のうへの露23

 ふ、と目を開くと視界が明るかった。今は夜ではなかったかと混乱したが、すぐにそれが夢だったのだと気づく。 (……あぁ……)  鼻がつんと痛い。頬に触れた指先が水滴に濡れたので、朝顔は吐息を漏らした。 (昔の夢を見て泣くな…
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test花のうへの露22

(鉄砲の音!?)  佐助はぎくりとして振り返った。頼鷹を残してきた方から、さらに銃声がいくつも重なる。 (頼鷹様!)  体を氷に貫かれたような寒気が走り、佐助は取って返そうとした。しかし、 「お待ち、佐助」  背中から刺…
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test花のうへの露21

 桔梗のもとへ頭の文が届いてから、二週間後。鷹通により陣触れがなされ、物々しい空気が城内を包み込んだ。 「今回の初手は、奇襲作戦だ。鳴竹が打って出るより先に、まずこちらが先手を打つ」  甲冑の着込みを手伝う佐助に頼鷹が語…
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test花のうへの露20

 小姓の仕事を終え、頼鷹の前から辞した後、人も寝静まった夜分。  こっそり部屋を抜け出した佐助は、お気に入りの松の枝に陣取った。そして、頼鷹から下賜された脇差しを両手に握り、ゆっくりと鯉ロを切る。  きぃ……ん……。  …
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test花のうへの露19

 夜中駆け回っていた桔梗は朝方屋敷へ戻り、半刻寝た後、起きた。すぐに身支度を整えて、部屋を出る。 「鷹通たかみち様、お目覚めの刻限にございます」  そうして、途中あちこちに寄りながら、まだ人もまばらな廊下を通って行き着い…
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test花のうへの露18

 何も見えない、真っ暗。自分の体が消え失せて、心だけ浮いているような感覚だ。時に見える世界はぐるぐる回っていて、何一つ捕らえられない。気持ちが悪い。吐きそうだ。頭蓋をヤスリでこすられているようで、激しい痛みに何もかも投げ…
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