test花のうへの露47

 これまで生きてきた中で、声をあげて泣いた経験など、ほぼ皆無に等しい。だから朝顔は知らなかった。  涙も空っぽになるほど泣いた後がこんなに苦しくて、体がだるくなるほど疲れて、心がまっさらになってしまうなんて。 「はっ………
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test花のうへの露46

「――Stop Daydreaming, 小十郎。気をしっかり持て」 「!」  ドンッ、と強く肩を叩かれ、小十郎は我に返った。  はっと視線を向けた先では、まっすぐ前を見つめる政宗の凛々しい横顔がある。先ほどまで毒霧の影…
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test花のうへの露45

 これが最後の仕事。最後の任務。  故に必ず成し遂げるのだと、覚悟を決めていた。  もしその結果が死であろうと、いっこうに構わなかった。  草はもとより、死を恐れる心など持ち合わせていないのだから。  火花を散らして、三…
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test花のうへの露44

 風が荒れ狂う。まるで剛腕を振るうかのように突然巻き起こった強風は、どっしりと渦巻いていた霧を掃き散らし、白い闇を払った。 「っ!」  その霧と共に吹き飛ばされた影が一つ、空中でくるくると回転すると、地面に這うほど低い姿…
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test花のうへの露43

 あの日の光景はこの目に焼き付いて、片時も消えることはない。  降りしきる冷たい雨。  数え切れぬほど負った傷から流れ落ちる血で、足下の水たまりが赤く染まっていく。  その同じ血だまりに倒れ伏す、切り捨てた兵達の山。  …
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test花のうへの露42

 大地が揺れる。猛りきった兵つわものどもが天を割くようなときの声を上げ、押し寄せる波のごとく大地を駆けてぶつかり合う。  鋼がはじけ、怒号と悲鳴が響きわたり、地は倒れ伏した男達の血を吸って赤く染まっていく。戦いの火蓋が切…
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test花のうへの露41

 開戦を間近に控え、兵達のざわめきが聞こえる。熱気に満ちた空気に自らも高揚感を覚えながら小十郎は陣の中で一人、気を整えていた。  伊達軍は二手に分かれ、先鋒を小十郎がつとめる事になっている。石田三成との決着を望む主の為、…
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test花のうへの露40

 幾千、幾万の兵達。  それぞれの思惑はあれど、ここに寄り集まった人々は皆、明日の世を生きたいと臨み願った者達。初めは世迷い事と一笑に付され、捨て置かれた平和な世の夢を、今はこれほどに多くの者が胸に抱いている。  関ヶ原…
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test花のうへの露39

 それは、二度と聞きたくない名だった。 「やぁ、片倉殿! 独眼竜は……」  徳川の言葉の後は聞こえなかった。胸が痛むほどに弾み、ざぁと血の気が引く。視界に映るその男は、決して会いたくはない相手だった。 「……っ!!」  …
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test花のうへの露38

『あたしだって、旦那みたいな役立たずは御免だよ。少しは楽しめるかと思ったけど、期待はずれもいいとこだ』  そう言って、あの女は嘲りの笑みを浮かべた。それなのに思い返すとなぜか、あれが悲しみに満ちた表情だったように思えてな…
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