test辿るは女神の足跡7 2020-08-16 このところずっと、視線を感じる。どこにいても、何をしていても、追いかけてくる眼差し。 振り返るとそこには必ず彼が居て、その真っ直ぐな瞳はいつも柔らかく、それでいて狂おしい光を宿しているので――いつの頃からか、彼が怖い…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡6 2020-08-16 鮮やかな碧の瞳が輝く。その瞳を縁取るまつげを二・三度瞬き、彼女は横を向いた。すっと通った鼻筋の横顔は精緻なカメオに収められた肖像のように端正だ。吹いた風で銀糸のような髪がなびき、その視線を遮って前にかかった。ほっそりと…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡5 2020-08-16 ブレシリアンの森に夜の帳が降りる。 松明の暖かな光に囲まれ、静かな夕餉を過ごした一行は、勧められるままに一泊する事にした。 人間が大半を占める集団を部族のうちに招くなど、デイルズにはあまりない事ではあったが、今回は…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡4 2020-08-16 心臓が早鐘のように鼓動を打っている。鎧の上から押さえて深呼吸するも、容易に治まりそうにない。 (ああ、参ったな……あれはまずかった) キャンプへ戻る道を早足に辿っていたゼブランは、湖からある程度離れたところで歩を止め…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡3 2020-08-16 一体あと、どれだけ殺せば。 この悪魔は消えて無くなるのだろうか。 弦が弾け飛んだ後、武器を剣に持ち替えて戦う。弓と違い、刃は肉を裂き、血に塗れて命を奪う感触を直接伝えてくる。それを恐ろしいと思ったのは、まだ戦う事を…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡2 2020-08-16 それは決して、自ら望んだ旅立ちではなかった。 大切な人の生死も分からず、自身は化け物の穢れに冒され、己の命を救う為なのだからと説得されての出立だった。 部族の皆をこれ以上悲しませたくないと生きる道を選んだというのに…拍手! 続きを読む →
test辿るは女神の足跡1 2020-08-16 それは死を覚悟しての任務だった。 任務を達成する為に命を賭けたのではなく、ただ死ぬ為に引き受けた仕事だった。 それまでの人生を終わらせ、苦痛のない世界へ旅立ってしまおうと心に決めて挑んだというのに――よりにもよって…拍手! 続きを読む →
test甘く溶かして 2020-08-11 休日の午後、ホテルラウンジは穏やかな喧噪に包まれ、静かな時間が過ぎていく。 入り口に立てかけられたスイーツビュッフェのポスターに惹かれるように次々と客が訪れる中。 青青とした緑の庭園を目の前にした、窓際の席に陣取っ…拍手! 続きを読む →
testあかぬ君にも 2020-08-11 「あ……待って、右目の旦那……」 かそけき声と共に白い手が小十郎の腕を止める。閨に横たわる女、その腰帯に触れていた小十郎は、 「……気分でも悪いのか」 宴で酒が進みすぎたのかも知れないと、はやる心を抑えて問いかけた。…拍手! 続きを読む →
test花のうへの露51 2020-08-11 うららかな陽気の日、森の空気は清浄で心地が良い。さわさわと木々を撫でて通り過ぎていく風の音に耳を楽しませながら、 「今度の事で思い知ったけどさ、人間、無理に我慢しちゃいけないね。まぁ、側にいられるだけでいいと思ってたの…拍手! 続きを読む →