茶会

 緊張する、と吐露したら、師匠は意外そうに眉を上げた。
「お前がそんな事を言うのは珍しいな」
「そりゃそうでしょう、勇利さん。白都さん……ゆき子さん達とお茶会なんて、お上品なものに誘われたんだから」
 師匠と白都が懇意なのは、当然と言ってもいいだろう。現役の最後には多分決別したにせよ、長年一緒にやってきた同志なんだし。
 ただ、近くにいるだけで気おされそうな美形の兄妹と、アフタヌーンティーなどというものに自分まで参加するはめになるとは、思わなかった。
「堅苦しいものでもない。リラックスしていけ」
 そういう師匠は、どういう場であれ堂々としていて、微塵も動揺を見せない肝っ玉だから、無茶言うなと思う。
(マジで緊張する……ゆき子さんすげぇ綺麗だから、余計落ち着かないんだよな)
 手に汗をかいてきたので、服にこすりつける。
 せめてみっともない真似はしないように、師匠の動きをよく見ておくことにしよう。